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Revital HGS (2014)
共同制作: 吉岡裕記、石橋友也
本作品は、3つの映像作品からなるインスタレーションである。
18 世紀まで、鉱物を動植物と同じく生命体の一種として捉える見方が存在していた。錬金術師達は鉱物を原材料に、そこに内在する生命力を操作することで黄金や不老不死の霊薬、あるいは生命体そのものを創りだそうとした。その後生物学の登場とともに、鉱物はその生命を失ったが、かつて彼らは確かに生命を帯びていた。
本映像中では現代の生物学実験室において、かつて錬金術師達が夢見た光景の復活を試みた。ここで鉱物に対して施される実験操作は、現代科学の視点から見ればほとんどナンセンスである。しかし、コンタミネーション(試料汚染)や取り違えといった初歩的なミスによって偶発的に得られた実験結果は、我々の能動的な解釈とイマジネーションを通して、再び鉱物にかすかな生命の予感を与える。
本作で用いた鉱石〈辰砂〉は硫化水銀(HgS)からなり、高温で熱することで水銀を取り出せる。水銀は常温で液体として存在する唯一の金属であり、他の金属と結合して様々な物質に変化し、そのあとでも容易に純粋な水銀を取り出せるといった変幻自在な性質を持つ。その不思議な性質から、辰砂は古今東西の錬金術の原材料としてよく用いられた。
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